2019年12月9日 / 最終更新日: 2022年6月13日
※この記事は、2022年6月に更新されました。
これから導入する方も、既に使っている方も気になるエコキュートのトラブル。
「これ故障?普通?」なんて迷ってしまうこともあるでしょう。
そこでこの記事では、エコキュートによくあるトラブル例と、その対処法を解説いたします。
実際の故障から日々の不安までをカバーしておりますので、今のエコキュートに少しでも悩みを抱えている方はご一読ください。
エコキュートのトラブル例と対処法
よくあるエコキュートのトラブル事例7個と、対処法をご紹介いたします。
貯湯タンクやヒートポンプから水がポタポタ出ている
よくお寄せいただくお問合せの中に、「貯湯タンク(またはヒートポンプ)から水が漏れている」といったものがあります。
実はこれ、「漏れ」ているわけではありません。
まず、貯湯タンク(背の高い方のユニット)から水がポタポタしている時。
この場合の多くがお湯のわき上げ中で、タンク内の水を排水配管から外部に排出しています。
というのも、水は熱せられると体積が増え、膨張します。タンクに貯湯できる湯量(体積)は一定なため、膨張分を外部に排出する必要があるのです。
では、ヒートポンプユニットの方から水が出ている時はどういったことが考えられるでしょうか。
これもまた「漏れ」に当たらない場合がほとんどです。
わき上げ時、ヒートポンプユニットに取り付けられた背面の空気熱交換器が大気から熱を吸収します。夏場など湿気を含んだ空気に触れると結露を起こしますが、そこで発生した結露水をやはり排出するために排水処理が行われているのです。
しかしながら、ユニットのどこかにヒビなどが入って漏れてしまう、という事例もあります。
排水口以外の場所から水が出ている、水道光熱費が急に上がった、といった場合は故障の可能性が高くなります。その場合は、購入店に相談してみましょう。
シャワーの水圧が弱い
通常のガス給湯器は、「水道直圧式」でお湯が出ます。水道から出てくる水の勢いをそのまま利用しているため、水圧は強め。
一方のエコキュートは、貯湯タンクの耐圧性を超えないよう、水道水を減圧弁にて一度減圧しなくてはなりません。
そのため直圧式に慣れた方だと、シャワーの出が弱いように感じることがあります。
これは故障やトラブルなどではなく、使用感です。
使っていくうちに気にならなくなる方もいらっしゃいます。
水圧は絶対強い方がいい!という方は、高圧給湯タイプのエコキュートを購入しましょう。
既にエコキュートを導入していて、水圧を強くしたい方は低水圧や節水用のシャワーヘッドに交換すると勢いが増します。
浴槽に勝手に水やお湯が出てくる
浴槽についている循環アダプター(フィルター)から、何の操作もしていないのに水やお湯が出てきた。こんな時も、故障と決めるのは早計です。
まず、「お湯はり」「保温」「追いだき」「たし湯」「追いだき配管洗浄」までを自動で行う全自動・フルオートの場合、自動配管洗浄機能がついているものだと、配管内の古いお湯を押し出して洗浄している可能性があるためです。
これは、浴槽の循環アダプター付近までお湯が減ると作用することがあります。
また、外気温が低い時も、配管内部の凍結予防のため、貯湯タンク内のポンプが作動して水を押し出すことがあります。
故障ではありません。
ただし、上記いずれにも該当せず、多量の水が勝手に出てくる・止まらないなど、明らかな異常が発生した場合は購入店に一度相談してください。専門業者による修理が必要です。
たし湯をしても水しか出ない
このケースは、まずはお湯切れを疑いましょう。
日中に予想以上にお湯を使用し、貯湯タンク内にお湯がなくなるとわき増ししなくてはなりません。
十分お湯が貯められているのにもかかわらず水しか出ない場合は基板自体が故障し、温度管理ができなくなっている可能性が高くなります。こうなると、修理が必要です。
なお、水すら出ない場合は凍結や断水の可能性があります。また、止水栓が閉まっている、といったことも考えられます。
お湯が止まらない
浴槽の循環アダプターには、浴槽内の水量を検知する水位センサーが搭載されています。
このセンサーによって湯はりの量を調節するのですが、調整がきかず、お湯が適切な位置で止まらなくなる、といったことがあります。
原因として考えられるのは、センサー本体付近に汚れやゴミ、使用した入浴剤などが詰まってしまっている、というものです。
ゴミをとる、洗浄剤を使用して洗浄するなど、浴槽内部や循環口を小まめに掃除するように心がけましょう。
また、指定された入浴剤以外を使用するとえてして起こりうるので、注意してください。特に白濁タイプは使用できない、といった機種が多くなります。
自動配管洗浄をしてくれる機種だと、こういったトラブルが発生しづらいので便利ですね。
リモコンにエラーコードが出る
エコキュートに対処が必要なトラブルが発生した場合、屋内に設置したリモコンに「エラーコード」が出ることが一般的です。
エコキュート内の不具合による水漏れであった場合は、コードとして表示されます。
エラーコードは、アルファベット・数字の組み合わせ、またはそれぞれのみで構成されます。
EX149、F27、といった具合です。
このコードはトラブル別に設定されているので、原因を特定しましょう。取扱説明書にコードごとに対処法が書かれています。ご自身での対処ができない、といった場合は説明書の記載事項に沿って対応してください。
対応後、一度リモコンをリセットするとエラーコードが消えます。
リセットしてもエラーコードが表示されたままになる、ご自身での対処ができない、といった場合は専門業者の修理が必要となります。購入店にご相談ください。
ご近所から騒音の苦情が来てしまった
故障とは別のトラブル事例で多いのが「騒音」です。エコキュートは屋外に設置するため、自分のご家庭内で、というよりも、近隣の住民からの苦情が来た、といったトラブル事例があります。
エコキュートの振動・騒音の原因となるのが、ヒートポンプユニットとなります。
大気中から得た熱をさらに圧縮して熱源にすることによってお湯を作り出しますが、この圧縮の際に音や振動を出してしまうのです。
とは言えエコキュートは他の家電などに比べ大音量を出す、といったことはありません。
例えばヒートポンプの音の大きさは40db(デジベル)程度と言われています。
ちなみにエアコンの室外機は50db程度、普通の会話が60db程度となります。
ただ、気を付けなくてはいけないのがエコキュートの稼働は「深夜電力」に拠るところが大きいため、日中よりも気にされやすい、ということ。
また、低い低周波音と言う、聴覚では感知できなくとも振動として感じとれる音波を発します。
人によっては非常に気になるため、マナーとして最大限の防音対策を施しましょう。
具体的な対策としては、まず設置の際は専門業者にお願いすること。自分自身で取り付ける、といった方も稀にいらっしゃいますが、土台にしっかり固定されないと振動音が響きやすいだけでなく、安定せず危険です。専門業者にお願いするようにしましょう。
また、音源となるヒートポンプユニットの周囲には障害物(囲いや植木など)を置かないようにします。障害物に音が反射して、いっそう大きな音になってしまうためです。壁などとの間にも一定の距離を設けてください。
また、隣家やご自宅の寝室のそば、窓や通し口の付近には設置しないようにしましょう。騒音が屋内に入りやすくなることを防ぎます。
加えて、エコキュートの下に防音シートを敷く、防振ゴムを利用するなどといった対処法もお勧めです。
もう一点、音・振動を抑えるために大切なのは、メンテナンスをしっかり行うことです。
一年に2〜3回程度は貯湯タンクの水抜きやお手入れをする、漏電遮断器や逃し弁など、動作確認を行う、など、ご自身でしっかりケアしましょう。
エコキュートのトラブルを防ぐには
上記のようなトラブルを事前に防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。
予防策をご紹介いたします!
メンテンナスをしっかり行う
メンテナンスをしっかり行うことは故障を防ぎ、長持ちさせるためには欠かせません。
タンク内の水抜きや動作確認に加え、配管内の洗浄剤などで洗浄するようにしましょう。
詳細なメンテナンス方法は機種によって異なります。取扱説明書で確認しましょう。
また、異常を感じた場合は速やかに購入店に相談し、早期に対策することが重要です。
ご家族の人数やライフスタイルに合った機種・機能を選ぶ
ひとくちにエコキュートと言っても、様々な機種があります。最も大きな分類としては「容量」が挙げられるでしょう。これは、貯湯タンクの容量で、ご家族の人数に合わせてお選びいただきます。
5〜8人で560Lクラス、4〜7人で460Lクラス、3〜5人で370Lクラス、2〜3人だと195Lクラス・300Lクラス・・・といった具合です。
タンクの容量を超えてお湯を使用すると、日中でもわき上げを行う必要が出てきます。エコキュートは深夜電力を使ってわき上げを行い、光熱費を抑える、というメリットがあるため、頻繁に日中に稼働させると電気代がかさんでしまううえに、わき上げ回数が増加することでユニットを酷使してしまい、結果としてエコキュートの寿命を早めかねません。
ご家族の人数やご使用量に合った容量を選択してください。
また、寒冷地にお住いの方は寒冷地用の機種を選ぶ、家族が多く頻繁にお風呂に入るご家族では自動配管洗浄装置が搭載されたものを購入するなど、ライフスタイルに合わせた選び方も重要となります。
入浴剤の使用は取扱説明書をよく読んでから
エコキュートの故障や配管の汚れ・詰まりも原因の一つに「入浴剤の使用」があります。
かつてエコキュートは、入浴剤の使用が望ましくないとされていました。配管やポンプに入浴剤が付着し、詰まりや腐食の原因となるためです。特にフルオートタイプでの使用はかなり制限がありました。
近年では使える入浴剤が増えてきましたが、白濁タイプや硫黄・酸を含むタイプなどNG、といったような成約が存在します。
取扱説明書をよく読み、メーカーが推奨している入浴剤以外の使用は避けてください。
まとめ
エコキュートによくあるトラブル事例7個と、対処法を解説いたしました。
故障かも、思ったら実はご自身で対処できるものもあります。一方で専門業者の修理が必要な場合もあります。少しでもおかしいな?と思うことがあれば、素早く原因を特定し、適切な対処をすることが重要です。
こういったトラブルの改善はエコキュートの寿命を延ばすことにも繋がりますので、ぜひ日々実践してみてくださいね。